職務発明

中村修二氏の最大の功績、それは世に知的財産の存在を知らしめたことだろう。
そして彼が投じた一石は法人化した大学にも大きな波紋を呼んだ。要は職務発明について明文化されただけなんですけどね。


報道では、彼は俗に言う(かな?)600億訴訟で守銭奴のレッテルを貼られ、二審では発明の対価6億円で和解し、「この国の司法制度は腐ってる」という一言を残しアメリカに帰ってしまった………。
ようにしか見えない。



それは金額の大きさと一社員が会社を訴えた事実だけに気を取られたマスコミが、この裁判は日亜化学が中村氏を先に訴えたことをほとんど報道してないためではないか。


中村氏は日亜化学からシークレットトレード(機密保持規約)違反で訴えられた(日亜化学のライバルのアメリカの会社の客員研究員だか何だかになったため)ので、反訴として発明の対価を要求した、とゆう話で。
反訴ってのはよくやる手なわけですよね。民事訴訟ならね。

ちなみに中村氏が退職するときに、「今後数年間はLEDの研究をしない」とか、いくつかの機密事項契約にサインしろ、と言われて拒否したら、退職金ゼロだったらしい。

で、退職金ナシな上にシークレットトレードで訴えられたんじゃたまらんとばかりに反訴して、しかも200億請求して大事件になったわけです。
まあライバル社の客員研究員になるっていうのは服務規定に引っ掛かりそうな話ではありますね。実際機密を漏らさなくても違反になるのかどうか、専門家じゃないし勉強もしてないのでわかりかねますが。


いずれにしろ、反訴とゆうことはあまり知られていないし、訴訟の金額や中村氏の発言ばかりが一人歩きしてしまった事件だったと思う。

結果、彼は肩書き社会*1に、日本のマスコミに、知的財産を裁ける能力に疑問符のつく司法に嫌気が差してアメリカに行ってしまった、ような気がする。

彼の功績はノーベル化学賞級なんですけど、悪者扱い。悲劇にしか見えないのは理系人間の、いや俺の偏見だろうか。

*1:中村氏は徳島大院卒。日亜も青色LED発売以前は今ほど有名ではなかった