ええ、例によって実家ですが。

俺が大変だろうから、って気を遣ってくれるのは一向に構わないのだが、
いやむしろ歓迎すべきことでもあるけど。
確かに28か29に帰る、とは言ったけど、それが29になったからってなんで、

「何それっ!?」

と言う必要があるのだ。

ホカ弁食べながらの姉との電話が告げた事実に、俺は辟易し、落胆した。

用があるならそう言えばいい。
これこれこういう用があるから28の日中に帰ってきて欲しい、と。
俺だって、用の重要度を(勝手に一方的に)判断して予定を組むさ。
だいたい、コトが大きくなって後からグダグダ言うんなら、
予め言うか、言わずに通すかどっちかにするべきでしょ。
前者のほうが好ましいことは確かですが。

そしてまた揉める。
もし俺が文句を言ったら憮然とした表情をする。
母は、まるで子どものように口を尖らせ、頬を紅潮させ。

だから俺は何にも言わない。
面倒だから。
全部勝手にする。
母は痺れを切らしてキレる。
そして姉に文句を垂れる。
22年間この繰り返しだった。

これで、今年の4月に俺がキレたとき、「直接言ってくれんきゃわからん」と言った(メールを送った)意味を
母は分かっていないことが確定した。
やはり母が泣いたのは俺をわかってなかった反省ではなかった。
俺が「ずっと母が怖かった」という事実がただただショックだっただけ。
その事実に打ちのめされて、可愛そうな自分に泣いただけ。

俺の人物評(人物分析)は結構当たる、そんなことも思った。


母は考えたことがあるのだろうか。

俺が実家に一秒たりともいたくない理由を。
俺が奨学金で大学に行きたいと言った理由を。
「たまに帰ってきてガミガミ言われるからあの子は帰ってきたくないんだよ!?」という姉の言葉の意味を。

もっとも、実家の問題において、母一人を責めるのは酷というもので、やはり父にも少なからず責任はあるし、
思い出せないけれど、俺にも悪いところはたくさんあるだろう。
ただ両親はそれを絶対に認めはしない。
というか、親子の間に問題があることすら認識しちゃいないだろう。



俺は俺。
同時に父と母の子。
たぶん、両親を、親としては嫌いではない。
しかし、人間としてのそれは、その答えを言えない。
分かってるけど、わかってるから言いたくない。

俺は長男であるゆえ、両親の面倒を見ることはすでに総意である。
しかし、絶対に同居はしない。つーかできない。
これ以上、俺の人生も姉の人生も破壊させはしない。

これで決心がついた。
就職は茨城に、少なくとも関東地方に。
帰りたくはないが、仕方ない。
平穏な人生を送るならこの道がベストだ。
俺にとっても、姉にとっても。