腹を括っていたつもりだけだった。

「彼」を傷付けた。
「彼女」を救うことに躍起になっていたあまり。


「彼」と俺とは数年来の友人だった。
それを裏切った。


彼とは親友だったわけではない。話も合わない、馬が合うわけでもない。

しかし強い信頼感だけはあった。


それを破壊した。


傷付いた彼の声は今までに聞いたことのないほど弱々しいものだった。

「彼」の「彼女」への思いが、そして俺への想いが突き刺さった。